【DAY7】プロゴルファー猿への憧れと、現実という名の「アプローチ・パター」

【DAY7】プロゴルファー猿への憧れと、現実という名の「アプローチ・パター」

野方ゴルフガーデンで、ハーフスイングの魔法にかかった数日前。 力まず、軽く振っただけでボールが綺麗に100ヤード飛んでいく快感。ミート率が劇的に上がったことで、私は完全に調子に乗っていた。 「接待ゴルフ、もしかしたらこのままいけるかもしれない」

翌日、私は会社の休憩スペースで自販機の「リッチコーヒー」を片手に、メンターである英樹を捕まえた。

私「英樹、ハーフスイング、もう完璧だよ。100ヤード飛んだし。次は何を練習すればいい? いよいよフルスイングか?」

英樹は大学ゴルフ部出身でベストスコア75の、少し生意気だが腕は確かな後輩だ。彼はコーヒーを飲み干すと、呆れたような顔でこう言った。

英樹「U-ZOさん、フルスイング? まだ早いですよ。……ていうか、実はゴルフでスコアを決める本当に大事な要素は、ドライバーでもアイアンでもないんです。『アプローチ』と『パター』ですよ」

……アプローチ? パター? 私にはちんぷんかんぷんだ。私が持っているのは、後輩から押し付けられた7番アイアン、ただ一本。それ以外のクラブなんて、プロが使う秘密兵器だと思っていた。

英樹は私の頭頂部に浮かんだクエスチョンマークを見て、さらに追い討ちをかけた。

英樹「U-ZOさん、まさか……。その7番アイアン一本で取引先の社長とラウンドしようと考えてたんですか?」

図星だ。クラブ一本の方が身軽で歩きやすいし、なんならそれだけで十分だと思っていた。

英樹「プロゴルファー猿じゃあるまいし(笑)。木を削った手作りドライバーとアイアン1本で勝負できるのは漫画の世界だけです。ルールで最大14本まで持っていいんですから、最低限の道具は揃えるもんなんですよ」

……プロゴルファー猿。懐かしい響きだが、私は猿ではなく、しがない営業マンだ。 接待ゴルフまで、あと少し。道具が必要なのは揺るぎない事実である。私は、最低限のゴルフクラブを揃えることを決意した。

しかし、お小遣い制のアラフィフに、数万円単位の突発的な出費など不可能だ。 今月のお小遣いは、昨夜の練習場で1000円札を吸い込まれた時点で、すでに風前の灯火となっている。

私に残された道は一つ。「妻へのお小遣い前借り交渉」だ。

果たして私は、コースに出るまでにゴルフクラブ一式を手に入れることができるのだろうか。 とりあえず今日は、帰りに妻の機嫌を取るためのケーキを買って帰ろうと思う。

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