【DAY4】コスパとタイパの葛藤。橋本から野方へ、アラフィフの練習場放浪記

【DAY4】コスパとタイパの葛藤。橋本から野方へ、アラフィフの練習場放浪記

リビングで新聞紙を振り回し、妻に未確認生物を見るような目で苦笑いされた、あの夜から数日。

私は悟った。 YouTubeの動画をいくら見ても、頭でっかちになるだけで上達はしない。必要なのは、情報ではなく実際にボールを打つ「球数」だ。

しかし、ここで大きな問題が立ちはだかる。 私の財布は、架空の会社「ギリギリ商事」の営業係長らしい、厳しい「お小遣い制」だ。 DAY1でコースデビュー(という名の初打ちっぱなし)を果たした「橋本ウエストサイド」は、500円で70球という、私のような金欠ゴルファーにとってはまさに神様のような料金設定だった。

だが、安くて良い場所には当然人が集まる。 とにかくお客さんが多くて、打席が空くまでの待ち時間が長いのだ。 仕事終わりや、休日の妻の機嫌を伺いながら捻出した限られた時間で、ロビーで何十分も待つのは辛い。コスパは最高だが、タイパ(タイムパフォーマンス)が悪すぎる。

そこで私は、営業マンとしてのリサーチ力を発揮し、新たな練習場を開拓することにした。 橋本ウエストサイドから、車でさらに10分ほど先へ進んだ場所にある**「野方ゴルフガーデン」**だ。

少しだけ足を伸ばすことで、待ち時間のストレスから解放される(はずだ)。 愛車を走らせ、いざ野方へ。

打席に入り、7番アイアンを構える。 「よし、今日はYouTubeのことは一度忘れて、とにかく当てることだけ考えよう」

リビングでの猛特訓(?)の成果か、私は無意識のうちに極端なガニ股で、深く前傾したあの未確認生物ポーズになっていた。そして、渾身の力で振り下ろす。

「ペチッ」

ボールは前に飛ぶどころか、右斜め45度の方向へ、情けない音を立てて飛んでいった。 「シャンク」と呼ばれる、初心者の心をへし折る忌まわしき現象だ。

隣の打席で、年季の入ったクラブを軽々と振っているベテランっぽいおじいちゃんが、私の姿を見かねて声をかけてくれた。

おじいちゃん「兄ちゃん、力みすぎやね。肩の力抜いて、ボールを睨みつけんことよ」

ありがたいアドバイスだが、ガチガチに緊張したアラフィフの身体は、そう簡単に言うことを聞いてくれない。 力を抜いて振ってみたら、今度は地を這うような「チョロ」。10ヤードしか転がらない。

後輩に宣告された「7番で140ヤード」というノルマが、果てしなく遠い星のように感じる。 接待ゴルフの日が、無情にも刻一刻と近づいてくる。

まともに当たったのは数球だけ。新たな絶望と、再び目を覚ました腰の痛みを抱えながら、私は野方ゴルフガーデンを後にした。

果たして私は、コースに出るまでに空振りとシャンクの呪縛から逃れられるのだろうか……。

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